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プロポーズの筈が・・・

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気まぐれ短編小説

プロポーズの筈が・・・

ここは、東尋坊

高い崖の上から、日本海に沈む夕日を、彼女と二人で見ていた

 

彼女に初めて声をかけたのは、ちょうど10年前

二人が高校生の時だった

7時12分発、前から3両目の1番後ろのドアの横の席

そこが彼女の指定席だった

 

いつも文庫本を開き、膝の上にのせて読んでいる

ちょっと小さくて、髪の長い女の子

ずっと気になっていた

 

『その本、面白いですよね 渉(しょう)の生き方が格好いい』

彼女を見かけて1ヶ月、初めて僕がかけた言葉だった

『渉(わたる)・・・・・・ですよ』

少しとまどいながらも、薄く微笑みながら答える彼女

一夜漬けの読書は、一瞬でばれてしまった

 

彼女は想像通り、決しておしゃべりではないけど、一生懸命僕の話を聞いてくれた

どんな時も、僕を見つめながら

時々、彼女の瞳に映る僕の姿に、照れてしまうくらいに…

『本は大好きなの でも、何故か国語は苦手なの』

それが彼女の口癖だった

 

あれから10年、色んな事があった

大学へ進学する時、僕は悩んでいた

地元の大学に行くか、東京の大学にするかを…

地元の大学へ行くと、彼女の近くにいられる

でも、東京の大学へ行くと、自分のやりたい事が学べる

その時、背中を押してくれたのは彼女だった

『私は待てるよ 自分の夢を追ってる優くんが好きだから・・・』

アメリカへの留学の時もそうだった

彼女は、自分の事のように喜んで、僕を送り出してくれた

今考えると、彼女との10年は、ずっと僕が支えられて来たように思う

 

『付き合って10年の記念に、温泉へ行って新鮮な海の幸が食べたい』

彼女が言った初めてのわがままだった

僕は、この初めての二人旅で、彼女にプロポーズするつもりだ

そう、ここ東尋坊の夕日を見ながら…

 

今日の日本海は、波静かだった

穏やかな潮騒の音、だんだんと沈んでゆく太陽、青かった空が紅に染まっていく

黙ってそれを見ている二人

まるで、二人のためだけに上映された映画のよう

 

長い長い沈黙・・・

意を決して僕は話し始めた

優しくて、素直で、いつも尽くしてくれる彼女を背中に感じながら・・・

『この10年間、僕が・・・・・・・・・僕が悩んでいる時、いつも僕の事を思って、背中を押してくれたよね ありがとう それでね、これからも、これからもずっと一緒にいて、僕の背中を押して欲しいんだ』

 

振り返って、結婚しようと言おうとした時・・・・・・

彼女の両手が背中を押した

優しくて、素直で、いつも尽くしてくれる彼女

でも、一つだけ忘れていた

 

落ちていく、落ちていく、落ちていく

あぁ~!落ちていく・・・・・・・・・・・・・・・

 

『本は大好きなの、でも、何故か国語は苦手なの』

頭の中で、彼女の口癖が、何度も響いた

 

今回も最後まで読んで頂き

ありがとうございました

では、また。。。

 

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